今回のテーマは「
トイレから流したもの」です。取り上げる物語は、「ケータイ刑事」からは「
泪・2nd.11話」、「007」からは「リビング・デイライツ」です。
「
ケータイ刑事」:「
泪・2nd.11話」。「雨音は殺しの調べ 〜男子三楽坊殺人事件」と言う物語。パロディ精神に満ちている物語で、当時人気のあった「女子十二楽坊」をパロディのネタにして「男子三楽坊」としているが、「女子」を「男子」にするというのはともかく、「12」を「3」に減らすという所が如何にも「ケータイ刑事」らしい所である。が、この「3人」というのはミステリーでは何かと扱いやすい数字でもある。低予算と言うことを逆手に取り、しかも
泪ちゃんは3代目ケータイ刑事であるなど、何かと面白いことが積み重なった物語である。
女子高生の間で凄い人気となっている音楽ユニットの男子三楽坊。日本の伝統的な楽器でポップスとかも演奏し、メンバーは超イケメンということで、ミーハーな
泪ちゃんはらしい所を見せていた。そんな所に、男子三楽坊のメンバーの2人(三味線の猫田仙三(ねこた・せんぞう)、和太鼓の堤大悟(つつみ・だいご))が行方不明になったという知らせが届き、
泪ちゃんと高村さんは男子三楽坊の事務所に向かった。
男子三楽坊のリーダー・竹本尽八(たけもと・じんぱち)に話を聞くが、彼は話をする相手の顔をジット見つめながら話をした。高村さんは「彼の視線、行きすぎた好意を感じるよ」と言っていたが、
泪ちゃんはそれを「気にしすぎですよ、自意識過剰過ぎます」と一蹴した。
やがて、脅迫状が届き、身代金として一億円を要求してきて、取引場所が指定されていた。売れっ子の男子三楽坊ということで、直ちに一億円が用意されて、指定場所の水無月公園に行こうとするが、竹本はトイレに寄ることを求め、トイレを経由してから公園に向かった。
公園には第二の指示書が置いてあり、それに従って身代金の入ったスーツケースを公園の池に沈めたが、犯人は来なかった。1時間経過した時、竹本は「もう少し待ってみましょう」と言い、2時間経過しても犯人が現れないので、スーツケースを引き上げてみることにした。が、中に入っていた一億円は消えていた。
高村さんは、犯人は池の中に隠れていた、と言うが、池から誰も出てきていないため、
泪ちゃんはそれを一蹴し、公園を引き上げることにした。
事務所に戻ってくると、犯人からの新たなメッセージが届いていて、一億円は受け取ったということと、2人の居場所も記されていた。で、その場所に向かった
泪ちゃんたち。
そこは廃屋であって、一部の壁や床が壊れていた。そして、そこに堤と猫田の姿があったが、堤は既に死んでいて、猫田は意識を失っているものの無事だった。
意識を回復した猫田に話を聞き、状況、犯行時刻などが分かる。で、
泪ちゃんは、この事件は竹本の自作自演だと見抜いた。が、竹本は一億円をどうやって奪ったかを尋ねる。これに
泪ちゃんは、公園に行く前にトイレに寄り、氷が入ったスーツケースと取り替えた。氷が入っていることで重量のことを誤魔化し、池に沈めて長時間待ったことで氷が解けてなくなり、犯人が奪ったというトリックを作った。で、トイレを調べればということで調べるが一億円は出てこなかった。
これに
泪ちゃんは「流したんですね、トイレに」と結論を出した。高村さんは「そんなバカな、一億円だよ、一万円じゃないんだよ」と驚き、竹本も「一億円を捨ててまでどうして偽装誘拐なんて...」と言うが、
泪ちゃんは「CDが売れまくっているあなたにとって、一億円なんて大した額じゃない。最初から殺人が目的だった」と言い、提の殺害が目的だったと結論づけた。
これにアリバイを主張した竹本。最初はそれを見抜けなかった
泪ちゃんだったが、そのトリックも解き、竹本の犯行と、一億円をトイレに流した事実が判明した。
竹本は、耳が聞こえないことを隠していたが、その秘密を隠すために読唇術を身につけた。が、提がその秘密に気づいて引退を求めた。そのため、提を殺したのだった。
犯罪の証拠を消すためとは言え、一億円をトイレに流したというのは売れっ子スターだから出来ることとはいえ、余りにも普通ではないものがトイレに流されたのでした。
「
007」:「
リビング・デイライツ」。1987年のシリーズ第15作であって、4代目ボンドのデビュー作である。3代目からバトンを受け継いで、「若さ」を前面に出した作品になり、アクションにも力を入れた作品となったが、日本ではT・ダルトンが蟹江敬三に似ているということから、今一つボンドのイメージと違うという声もある作品である。が、イギリスではT・ダルトンは、原作のイメージに最も近いとダイアナ妃(当時)が語ったことから人気を得たというなど、「所変われば…」ということを感じさせた物語になった。
KGBのコスコフ将軍は私利私欲のための計画を進め、その作戦として西側に亡命を求めた。(この亡命自体も作戦の一つで、偽装亡命を仕組んでいた。)そして、亡命を受け入れることにしたイギリスはボンドを派遣して、コスコフの亡命を手助けする任務を受けてチェコスロバキア(現在はチェコであるが、この物語の当時はチェコスロバキアであった。)のブラチスラヴァに入った。そこのあるホールでクラシックの音楽会が行われている。亡命は、その音楽会の中休みの時に、コスコフはホールから脱出してきて、それをボンドが保護するという手筈になっていた。また、コスコフは、KGBのスナイパーに狙われると言い、ボンドはスナイパーを発見したら直ちに射殺する準備を整えていた。
コンサートが中休みに入り、コスコフは打合せ通りにトイレに入った。そして、個室に入ると、その窓から脱出した。ボンドはその場所の道を挟んだ向かいにあるある店に控えていて、コスコフはそこまでの間はスナイパーに狙われる危険があった。コスコフの姿を目にしたボンドは、スナイパーがいないかを探り、コンサートホールからライフルを持った人影を発見した。それはコンサートでチェロを弾いていた女だった。が、ボンドはその女を射殺せずに、わざと弾を外して驚かせただけだった。間一髪の所を駆け込んできたコスコフ。そしてボンドは、車に乗せてある場所に向かい、そこからコスコフをガスパイプラインを使って脱出させて西側に入れ、更にイギリスに送り届けた。こうしてコスコフのイギリスへの亡命は成功した。
が、イギリスに到着して直ぐに、KGBが襲撃して、コスコフは奪い去られた。しかし、この襲撃は、コスコフが計画したものであって、襲ったのはコスコフの仲間で殺し屋・ネクロスで、コスコフはタンジールに逃亡してそこで仲間(当然、ネクロスもいた。)と合流したのだった。
亡命をするために、トイレが鍵を握る場所になり、その窓から脱出するということで、これもトイレという空間から亡命者が出てきたという普通ではないものが出てくることになったのでした。
共通点は、
トイレをトリックに使い、普通はトイレに流さないもの(「ケータイ刑事」では札束、「007」では亡命者)
が流れ出ているということである。ということで、
「トイレは排泄物を流す場所」ということを、共に逆手に取ったことになったということが共通点である。また、
その時トイレを利用した人物には別の目的(「ケータイ刑事」では殺人のための偽装誘拐、「007」では偽装亡命)
で「偽装工作」の一つとして使われているということ、またその人物の保身のための行動であったという所も共通している。
一方、相違点としては、「ケータイ刑事」ではその偽装工作を通して、ターゲットである人物(男子三楽坊の提)を殺害したため、死者が出ているが、「007」ではスナイパーをボンドは射殺しなかったため、死者は出ていないということである。(但し、物語が進んで行く内に、ボンドの協力者・ソンダースは死亡、コスコフも死亡している。)
次回も今回と同様に「ある物(できごと)」をテーマにして記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。
posted by MEICHIKU at 00:00| 京都 ☔|
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ケータイ刑事
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