今回のテーマは「
流行のグッズ」です。(但し、「流行」というものは年代によって変わっているだけに、ここでは「同一の物」ということにはならず、あくまでもその当時に「流行している物」ということになります。)で、取り上げる物語は、「ケータイ刑事」からは「
泪・1st.10話」と「
泪・2nd.2話」の2本を、「007」からは「ドクター・ノオ」と「死ぬのは奴らだ」の2本です。
「
ケータイ刑事」:「
泪・1st.10話」。「爆弾魔からの挑戦状 〜手錠は爆弾を結ぶ」という物語。この物語のパターンは「
愛・15話」を発展させたものである。後に、更にこのパターンを発展させた物語もシリーズには登場している。
17歳で女子高生の
泪ちゃんは、流行に敏感で、トレンドハンターとして、流行している物に対してのチェックをいつもしていた。この物語では、柴田太郎さん宛てにプレゼントが届くが、
泪ちゃんはその箱を見て、ホワイトデーのお返しで、自分へのプレゼントだと勝手に判断する。が、五代さんが、それは柴田さんに届いたものであって、と言うことを代わりに受け取って預かっていたことを告げた。すると、
泪ちゃんは、その箱が綺麗な包み紙に包まれていて、リボンが付いていたことから興味を持った。そして、それは女性からのプレゼントだと判断した。すると五代さんがその箱を開けてしまった。
中から出てきたのはピンク色をした小箱に2つの手錠が繋がったものであって、五代さんはそれが何なのか、全く分からなかった。
泪ちゃんはそれを見ると、現在女子高生の間で流行っている「開運手錠」というものだと説明した。(手に入れるのに3ヶ月待ちという人気商品で、手錠を掛けたその人の運を知ることが出来るというものと、ちゃんと説明までしてくれた。)
五代さんはそれに対してすっかり興味を失ってしまったが、
泪ちゃんは逆に、流行のものということで「試してみましょう」と言って、すかさず手錠の1つを開き、自分の左腕にはめ、もう一方をの手錠を五代さんの右腕にはめてしまった。そしてスタートボタンを押した。(柴田さん不在で、勝手に使ってしまいました。)
しかし、それは本物の開運手錠ではなかった。占いの結果が出るのでは無く、2時間のカウントダウンが始まったのだった。そんな所に柴田さんがやってきて、荷物を受け取ろうとして尋ねた。しかし、直ぐに荷物が開封されたことを知った。(これで怒らないのが柴田さんの優しい處でもある。)そして、箱に同封されていたメッセージカードに気づき、差出人が「名無権兵衛」だと知る。また、
泪ちゃんは箱の蓋に付いていたメッセージカードに気づき、それに目を通し、これが(時限)爆弾ということを知ったのだった。
「
ケータイ刑事」:「
泪・2nd.2話」。「音で人を殺せるか? 〜売れっこ漫画家殺人事件」という物語。新パートナーの高村さんを迎えて、その2話目となった物語である。早くも
泪ちゃんと高村さんとの新・ケー刑事黄金コンビぶりが出ている物語である。
住宅街を散歩していた高村さんがトラブっている所に姿を現した
泪ちゃんは、近所に住んでいるという人気漫画「プリマをねらえ!」の作者の漫画家・胡桃割一郎にサインを貰おうということでやってきたのだった。人気漫画ということで
泪ちゃんはそれに填まっていたが、高村さんは「漫画に夢中になれるとは子供の特権だね」と言って、
泪ちゃんを子供扱いするだけだった。これに対して
泪ちゃんは「(漫画は)大人だって読んでますよ」と反論したが、流行のものは何でも手を出すのが泪ちゃんである。また、流行のものを追いかけて、相棒に「知らないんですか〜?」と、ちょっと馬鹿にした言い方も
泪ちゃんらしいところであった。
今回は
泪ちゃんしか取り上げていないが、本家四姉妹は、
愛ちゃん、
舞ちゃん、
零ちゃんも同じようなところがありました。また、分家四姉妹は、自分が興味を持って入れことであれば本家四姉妹と同様であるが、興味の無いものであれば全く知らないということになっていた。
「
007」:「
ドクター・ノオ」。1962年の記念すべきシリーズ第1作である。製作から50年という時間が流れたこと、また本作は低予算作品であったことで、流石に現在では、劇中に登場する車をはじめ、グッズの数々には時代を感じてしまうが、物語の面白さは色褪せてはいない。
ロンドンにあるボンドのアパートが登場する数少ない作品である。(ジャマイカに飛ぶ前に、一旦自宅に戻ってきているところで登場する。)高級アパートメントに住んでいるボンドであるが、なかなか豪華な暮らしをしている。アパートは高級アパートであって豪華な作りであるが、彼の部屋には、当時はまだ高級品であるテレビが設置されていた。(テレビ放送が始まったのは1950年代後半であって、まだそれほど時間が経っていない時期である。)流行の品となるのはもう少し後であるが、既に手に入れている所が、流行に敏感なボンドらしいところである。
また、当時流行していたのがヴィンテージ・カーであったが、ボンドはそのヴィンテージ・カーの写真を自室にいくつか飾っていた。写真を撮って、それを飾るということから、カメラに対しても並々ならぬ力の入れようであって、流行しているものには手を出すのがボンドということを語っているところである。
「
007」:「
死ぬのは奴らだ」。1973年のシリーズ第8作であり、3代目ボンドのデビュー作である。3代目ボンドの作品も、40年近くが経過していて、劇中に登場しているグッズには時代を感じさせるようになっているが、「ドクター・ノオ」と同様に、物語の面白さの方は全く色褪せていない。
この物語も、ボンドの自宅(アパート)が登場する。早朝にもかかわらず、Mがマネーペニーを連れて、ボンドに緊急の任務ということを告げるためにやってきた。(前の任務の女性と、いつものパターンになっていたが、マネーペニーの好フォローで助けられている...)
ボンドのアパートは「ドクター・ノオ」の時とは変わっていて、近代的な('70'sの)最新設備を備えたアパートであった。キッチンは(当時の)最新式のシステム・キッチンであって、電化キッチン製品が備えられており、自宅でコーヒーをということで流行していたコーヒーミルとエスプレッソ・メーカーまで備え付けられていた。
嗜好品には不快拘りのあるボンドだけに、コーヒーに対しても自分で拘った入れ方をしていて、そのためには再審の装置を導入して、深い造詣と拘りを見せている。で、Mが尋ねてきたこの時にも、その拘った入れ方で入れたコーヒーをMに出していた。
尚、I・フレミングの原作小説では、ボンドのアパートには年配のスコットランド人で、名前はメイという家政婦がいるが、映画では「ドクター・ノオ」、「死ぬのは奴らだ」のいずれにも家政婦は登場していない。
共通点は、
主人公のキャラクターとして、流行に敏感であること、
流行の物に関しては拘りを持っていること、
それらには手を出していることである。また、その具体例である今回取り上げた物語では、
その流行の物(「ケータイ刑事」では開運手錠、「007」ではコーヒー)
について、その場にいた相手(「ケータイ刑事」では相棒の五代さん、「007」では上司のM)
に対して語っている所である。
尚、主人公が流行に敏感であるというのは、キャラクターというだけでなく、話題となるものを取り入れることで作品時代への注目度を高めることにもなるだけに、ある意味では主人公というキャラクターならではという大人の事情があるのかも知れないですが...
一方、相違点としては、「ケータイ刑事」(
泪ちゃん)は女子高生で小遣いが少ないこともあると思われるが、流行の物を全て手に入れると言うことまではしていない(漫画や本などは手に入れているが、開運手錠までは手に入れていない。)が、ボンドはさりげない形て流行の物を手に入れているということが違いとなる。
次回も今回と同様に「ある物(できごと)」をテーマにして記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。