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銭形零」の第7話「金は天下の回り物!? 〜福沢U吉誘拐事件」の裏ネタ編・増補の4回目となる今回は、高村さんが口にした「
ワシントン条約」について、冒頭で
零ちゃんは今日はこれだと言っていたことから「
非番」について、その時これを計算していたことから「
エンゲル係数」について、「
家計簿」について記します。尚、「ワシントン条約」と「エンゲル係数」については「
零・7話[裏ネタ編]」で記したものをベースとして加筆しました。
また、この物語について過去に記した記事(BS-i(当時)の再放送時に記した[改訂版])は「
ここをクリック」してご覧下さい。(この物語についての過去に記した裏ネタ編は2008/2/21日付です。)
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ワシントン条約」:正式名称は「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」と言う。英文で表記すると「Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora」であり、これの頭文字から「CITES」(さいてす)と呼ばれることもある。(「CITES」は英語以外の言語であっても「ワシントン条約」の略号として使用されている。→例えば、ドイツ語では「Übereinkommen über den Internationalen Handel mit Gefährdeten Arten Freilebender Tiere und Pflanzen」、フランス語では「Convention sur le Commerce International des Espèces de Faune et de Flore Sauvages Menacées d'extinction 」と言い、どちらもこれの頭文字を取って略号を作ろうとしても「CITES」とにはならないが、ドイツ語でもフランス語でも「CITES」と言うと「ワシントン条約」のことを指していて通じる。)
正式名称が述べている通りの内容であり、野生動植物の種の存続が脅かされるような国際取引を招かないように、絶滅が危惧される野生動植物の国際的に取引を規制する国際条約である。1973年にワシントンで採択され、発効したのは1975年7月1日である。日本は1980年に批准し、1987年には国内法も整備された。
この条約の対象になっている野生動植物は約34000種類で、「一切の取り引きを禁じるもの」「輸出国の許可がなければ商取引ができないもの」「規制の下で商取引が可能なもの」の3つのランクに分けられている。また、動植物種の生体だけでなく、その死体や剥製、毛皮、骨、牙、角、葉、根という生体の一部や、それらから加工された製品も対象になっている。
規制対象となる野生動植物は、付属書に於いて詳細に指定している。但し、これはあくまでも国際取引に於いてのことであって、国内での移動に関しての制限は設けられていない。また、条約には罰則規定がなく、国内規定と罰則に関しては、条約加盟国が国内法で定めることになる。ちなみに日本では、「絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律」がこれに該当する。(「野生動植物保存法」または「種の保存法」とも呼ばれている。)→よって、劇中で高村さんが「ワシントン条約違反。」と言っているのは間違いではないが、条約には罰則規定がないので、これでは逮捕することは出来ず、正しくは「野生動植物保存法違反で逮捕する」と言うことになります。
条約が発効してから既に30年以上が流れたことになるが、その間に野生動物の状況にも当然のことながら変化が生じている。そのため、対象となる動物の種類は定期的に見直しがされている。(基本的に追加されていく方向、またはより厳しく規制する方向に向かっている。)基本的に、2年に一度の割りで締結国会議が開催されていて、その場で新たな保護対象動物への追加提案がされる。で、総会でそれらが判断されることになる。
最近ではクロマグロを保護対象動物に指定しようという動きがあって、そのことがニュースになったのも記憶に新しい所である。
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非番」:当番でないこと、日直や宿直でないこと、またはそういう状態にある人のことを言う。交替制勤務の職場の場合では、非番と言うことは休日に当たることになる。(当然、全員が休日ということではないので、「休日」という言い方はせずに「非番」と言う。)
英語では「The Off」、ドイツ語では「Ich bin aus Pflicht」、フランス語では「Je suis hors de Service」、イタリア語では「Io sono fuori Servizio」、スペイン語では「Estoy apagado el Deber」という。
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エンゲル係数」:ドイツの社会統計学者エンゲル(1821年〜1896年)が1857年の論文で発表したものであり、家計の総消費支出に占める飲食費の割合をパーセント(百分率)で示したものである。この数値が高いほど生活水準は低いとされる。(この法則を「エンゲルの法則」と言う。)しかし、エンゲル係数は、生活水準を知る上では一つの基準になるが、価格体系が異なったり、生活習慣が異なったり、社会保障制度が異なる社会集団(例えば、国が変わる、時代が変わるなど)の生活水準を比較する最には必ずしも役立つものではない。
尚、日本ではエンゲル係数は平均すると23%程度である。(約1/4の支出が飲食費ということになる。)この物語で
零ちゃんは、高村さんのエンゲル係数を95%と算出していたが、これはいくら何でもあり得ない数字である。(10万円の支出があると5千円以外は食費ということになりますから...)一方、銭形家のエンゲル係数が1%ということは、非常に食費が少ないということになる。まあ、四姉妹が全員警察で働いていることを考えると、銭形家の収入はかなりの額になり、個人的にボディーガードでも雇っていたら、支出もかなりの額になるでしょうから、エンゲル係数が小さくなるのは分かりますが、1%というのはいくら何でも低すぎると思いますが...(10%と言うのならばそれなりに納得出来るのですが...)
また、「第二エンゲル係数」と呼ばれるものもある。これは、炭水化物が主要栄養素である食物の支出費が飲食費の総支出に占める割合のことである。やはり、この係数が高いほど生活水準は低いとされている。炭水化物は主食となる穀物ということであり、第二エンゲル係数が高いということは、主食が多く、副食となるおかずや野菜などが少ない、ということを示すことになる。尚、これも「エンゲル係数」と同様に、価格体系が異なるような他国との比較ということでは、必ずしも役に立つものではない。
ちなみに、19世紀のドイツの統計学者には、エンゲルの他にもシュワーベが家計における家賃支出に関しての法則を提唱している(「シュワーベの法則」と呼び、所得が増加すると家賃支出の絶対額は増加するが、家計の総支出に対する家賃支出の割合は低下する、という法則である。)が、数字で表すと言うことがお好きなようですね。(尚、シュワーベの法則に関しては、後に、各国の統計値を照合してみたら、この法則に一致していない国も実際にある。)
ということで、「○○係数」というのは、あくまでも一つの指標となるものであるが、絶対的な比較をすることか出来ないものであるということを教えてくれているところである。
尚、英語では「Engel's Coeffiiicient」、ドイツ語では「Engel's Koeffizient」、フランス語では「Coefficient d'Engel」、イタリア語では「Coefficiente di Engel」、スペイン語では「Coeficiente de Engel」、中国語では「恩格爾係數」と言う。
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家計簿」:一家の収入と支出(「生計費」とも言う)を記入する帳簿のことである。会社の収支報告書のように定型のものというのが無いのだ、多種多様な様式が存在しているが、基本は収入と支出を項目毎に分類して記したものである。
個人では小遣い帳を記すことがあるが、簡単に言うと、小遣い帳の家計版というのが家計簿と言うことになる。(但し、小遣い帳のような大雑把に付けるのではなく、項目毎にそれなりに管理して記入されるのが普通である。)
これを用いるのは、支出を管理することで、家計が赤字にならないようにチェックするというためである。また、住宅購入のような多額の買い物をするのに向けて、家計の無駄を切り詰めるのにも用いられる。→小遣いならばどんぶり勘定でも特に困らないが、家計ではそういう訳にはいきませんからね...
英語では「Household Accounts」、ドイツ語では「Haushalt Kontobuch」、フランス語では「Livre du Compte du Ménage」、イタリア語では「Libro di Conto di Famiglia」、スペイン語では「Libro de Cuenta de Casa」、中国語では「家用帳」という。
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