今週も「名曲探偵アマデウス」は完全にお休み(火曜朝の再放送だけはあります。また、次の新作は9/6で、ファイルNo.072のハイドン「弦楽四重奏 作品64-5『ひばり』」です。)ということで、代打の
泪ちゃんの登場です。
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銭形泪・裏ネタ編」も今回からは「アナザーストーリー」の方に突入となります。で、通算で36話となる2nd.23話(アナザーストーリー1話)の「まりもクイーンVS女王卑弥呼 〜邪馬台国を迎撃せよ!」の登場です。この物語の「裏ネタ編」は過去にはPART 8まで記している(2009/11/2、3、5、7、10、11、14、15日付けで記しています。)ので、PART 9からということになります。今回はサブタイトルにある言葉から「
まりも」について、「
女王」について、「
卑弥呼」について記します。(「邪馬台国」については次回に回します。)尚、「まりも」と「卑弥呼」については「
泪・36話(2nd.23話・AS1話)[裏ネタ編]PART 1」で記したものをベースにして加筆しました。
また、この物語について過去に記した記事(BS-i(当時)の再放送時に記した[改訂版])は「
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まりも」:漢字で記すと「毬藻」、英語でも「Marimo」という。(ドイツ語、フランス語、イタリア語などでは「Aegagropila linnaei」(但し、発音は異なる)と言う。)緑藻類シオグサ科の淡水藻である。世界の寒冷地の淡水湖に分布しているが、球状になったまりもが分布している所は世界でも数少ない。
日本では北海道・阿寒湖に生息しているものが特に有名である。(特別天然記念物に指定されている。)阿寒湖以外では、釧路湿原のいくつかの湖沼やチミケップ湖、青森県の左京沼、田面木沼、小川原湖など、山梨県の山中湖、河口湖、西湖、滋賀県の琵琶湖などである。但し、阿寒湖と小川原湖以外では、特にボールのような球形にはなっていないで生息している。→それだけ、阿寒湖(と小川原湖)のまりもは珍しい存在であって、国の特別天然記念物にに指定されているのも当然である。尚、特別天然記念物に指定されているのは「阿寒湖の毬藻」であって、それ以外の湖矢沼に生息している毬藻は特別天然記念物には指定されていない。また、天然記念物に指定されたのも古く、大正10年(1921年)に天然記念物に指定され、昭和27年(1952年)に特別天然記念物に指定変更されたという歴史がある。
外国では、北半球の寒冷地の湖に分布しているが、球状になったものが確認されているのはアイスランドのミーヴァトン湖、エストニアのオイツ湖ぐらいである。(球状になっていないものは、北欧諸国、ロシア、アメリカ、カナダなどにも生息している。)
本来は糸状の藻である。(そのため、普通の形で生息しているところはけっこう多い。)阿寒湖などで球状になって生息しているのは、いくつかの特別な条件があって球状になる。それは、糸状の藻が絡み合い、それが水中を沈んだり、光合成で生じた酸素のために浮き上がるという水中での上下移動や、河川の流入や風による水の動きなどによって動く上下移動の際、転がるように動くことでボールのような形に形成されていくのである。つまり、自然の力で丸くなって球状になるのであり、自らの生育によって球状になるものでは無い。こういう条件が生じる特別な場所で生息しているものだけが球状になる。(→特に阿寒湖はその条件に優れていて、大きいものは直径が25cm〜30cm程度まで生育する。)
但し、直径が大きくなると、球の内部の方までは太陽光が届かないため、その部分の藻は光合成が出来ず、それ以上生育することが出来なくなって枯れてしまう。そのため、球形の中心部分は中空になる。そして、その部分は糸状の藻が無くなるため、大きさを支えきれなくなって、自然と崩壊してしまう。(小さいものも、中心部になると藻の生育が鈍るのは同じである。)但し、球形が崩壊しても、本来の藻は糸状の形をしているため、それが再び水の動きによって丸められて、新たな球状の毬藻へとなっていく。尚、水の動きが無い所にいる糸状の藻は、自ら動くことがなく、沈殿してしまうため、芝生状になってそのまま生育していくことになる。
ちなみに、阿寒湖をはじめ、観光地では「毬藻」が販売されているが、これらは自然に出来た毬藻ではなく、糸状、もしくは芝生状になった毬藻の藻を集め、それを人工的に丸めたものである。(阿寒湖の毬藻は特別天然記念物であるため、それを採取することは禁じられているので、天然の球状になった毬藻を持っているだけで処罰される。よって、販売することは不可能である。)→(人工的に丸めた)毬藻を育てること、販売することは法的にも問題はない。(だからお土産として販売されているのである。)
お土産の毬藻は人工的に丸めたものであるが、条件的には自然に丸まったものと変わらない。やはり大きく育っていくと自然と崩壊してしまう。球形を保つためには、ある程度転がることが必要であり、単に水槽の中に入れておくだけでは、それほど大きくならない内に自然と崩壊してしまうことになる。(天然の毬藻の大きさにというのは無理であるが、ある程度の大きさにまで育てようとするのなら、水槽をシーソー状にするとか、ら旋運動をするような仕掛けを作り、毬藻が転がっていくようにする必要がある。→そこまでするには、結構な仕掛けとなるため、何かとお金が掛かるのは言うまでもない。まあ、人工的に丸めた毬藻を定期的に手で丸めてやることぐらいは出来るが、それほど長い間球形を保つことにはなりません。)
また、毬藻は寒さには強く、暑さには弱いという性質がある。(だから、世界でも寒冷地の湖にのも生息している。)そのため、夏場は保管場所に気をつける必要がある。→冷蔵庫の中に入れて保管するというのは実は毬藻にとっては生息しやすい環境であるため、これはなかなかいい場所なのである。但し、日光が当たらないので、光合成が出来ないということで、あまり成長しないことになる...
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女王」:女の君主、女帝のことである。英語では「Queen」という。また「じょおう」とは読まずに「にょおう」と読む場合もある。(「じょうおう」と読むこともあるが、「女」という感じには「じょう」という読み方は無い。しかし、長音を付加して読む読み方の一つとした場合の読み方が「じょうおう」と言うことになる。)または、君主である王の配偶者のことを「女王」と言う場合もある。(日本語ではこの場合は「王妃」と言って「女王」とは区別されるが、言語によっては日本語で言う所の「女王」と「王妃」とを区別しない言語があって、その場合は本来は「王妃」と訳すのが適しているにも関わらず「女王」と訳される場合がある。)
一応、「女王」というと「君主」である女性の王のことが一般的な意味であるが、それ以外の意味としても複数の意味がある。まずは律令制に於いては、天皇の2世から5世(孫、曽孫、玄孫、来孫)までの女子のことを指し、現在の皇室典範では。天皇の3世以下の嫡男系嫡出の子孫たちの女子のことを指す。
また、ある分野に於ける花形の女性、または最も優れた女性のことを言う場合にも用いられる。(「ケータイ刑事」に於ける「○○クイーン」はこれですね。)尚、この意味で使う場合は「女王」と言うよりも「クイーン」と呼ばれることの方が多い。
更に、「女王様」という言い方になるが、SMの世界でS専門の女性のことを指したり、高飛車な態度を取る女性のことを呼ぶ場合にも使用される。
君主としての「女王」は、歴史的に有名な人物としては、古代ではエジプトのクレオパトラ(プトレマイオス朝の最後のファラオであるクレオパトラ7世が最も有名ですね。)、邪馬台国の卑弥呼、壹與(台与)、パルミラ王国のゼノビアという所が有名であり、中世から近世では欧州諸国に何人かの女王がいる。現在では、イギリスのエリザベス2世、デンマークのマルグレーテ2世、オランダのベアトリクスが女王として君主の座にいる。
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卑弥呼」:普通は「ひみこ」と読むが、「ひめこ」と呼ぶ場合もある。生没年は不明であるが、一応、西暦175年頃の生まれで、西暦248年頃に亡くなったとされている。2世紀の後半から3世紀前半に活きた人物であり、「魏志倭人伝」に出てくる「邪馬台国」の女王であて、また倭国の王として君臨した人物である。(但し、実験は弟が握っていたという説もある。)日本史に於いては、女性天皇が数人いたとはいうものの、国を支配していた女性ということでは数少ない人の1人である。(日本人で君主となった女性の中では、卑弥呼が最も有名な存在でしょうね。)
2世紀の後半の日本では、「倭国大乱」と呼ばれている争乱が起こったとされている。(中国の複数の史書に記述がある。しかし、日本書紀などの日本に伝わる歴史書には「倭国大乱」の記述は無い。)それまでの倭国は男の王が統治していたが、この大乱で統治が乱れ、内乱は数年間続いたとされ、大規模な内乱に発展した。内乱を治めるための打開策として、女である卑弥呼を倭の国の王として立て、騒乱に終止符を打ったとされている。そしてこの大乱を鎮めたことで卑弥呼の国(邪馬台国)は30数カ国を統治することになって巨大な力を持つことになった。
彼女が倭国の王となってからは、難升米(なしめ)を魏の国に使者として派遣し、親魏倭王の仮の金印(福岡市の志賀島で発見された「漢委奴国王印」は余りにも有名である。)と銅鏡100枚を与えられたが、これが「魏志倭人伝」に記されている有名な記述の一つとなっている。
呪術的宗教の巫女であった彼女は夫を持たず、弟(有男弟佐治國)を補佐役として国を統治したとされている。また、卑弥呼は人前には殆ど姿を見せなかったとされていて、神秘のベールに包まれている存在でもある。
西暦248年前後(いくつかの説があって、247年説と248年説の2つが有力で、どちらとも決められないのだが、以前から248年説が主流である。また、それ以外の説もあるが、西暦240年代の後半ということだけは一致している。)に死亡したとされていて、没すると、直径が百余歩もある大きな塚を作り、そこに彼女は埋葬された。また、この時に奴婢100余人を殉葬したとされている。(正に巨大な権力を持った王を埋葬した古墳先駆けのようなものとなった。)彼女の後継の王としては、男王が継いだが、これに対して混乱して内乱となり、1000人が死んだとされ、卑弥呼の親族である13歳の壹與(とよ、一般的には「台与」という文字で代用される)が王位を継ぎ、国中が治まったとされている。(しかし、それ以後の邪馬台国については不明なことが大く、詳細は分かっていない。)
マリモの科学
- 作者: 阪井 与志雄
- 出版社/メーカー: 北海道大学図書刊行会
- 発売日: 1991/06
- メディア: 単行本
夢追いて卑弥呼
- 作者: 虎尾 幹司
- 出版社/メーカー: 東洋出版
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本