今回のテーマは「
(偽装)レンタカー」です。取り上げる物語は「ケータイ刑事」からは「
泪・2nd.10話」、「007」からは「トゥモロー・ネバー・ダイ」です。尚、「偽装」と言っているのは、レンタカーであると言うことを負かそうとしているということである。
「
ケータイ刑事」:「
泪・2nd.10話」。「ミステリー作家の挑戦状 〜犯人は私だ!殺人事件」と言う物語である。尚、物語の設定上、主役である
泪ちゃんは17歳であるため、車の免許はまだ持っていないので、当然ながらレンタカーも借りることは出来ない。ということで、この物語では相棒の高村さんが、ということになる。
高村さんがご機嫌で、カッコイイスポーツカー(オープンカー)に乗ってやってくる。ミュージックは『James Bondのテーマ』ということで、007を意識している高村さん。で、
泪ちゃんに「お嬢さん、ご機嫌いかが」と声を掛けた。「車なんか持っていたんですか?」と言う
泪ちゃんに「BMW Z3ロードスター、007かなんかに出ていただろう」と、車の自慢を始める高村さんだったが、
泪ちゃんは「全然興味ないですけどねぇ...」と冷めていた。→実際にBMW Z3ロードスターは、1995年のシリーズ第17作の「ゴールデンアイ」にボンドカーとして登場している。(但し、ボンドカーらしい活躍はしていない。)
そんな所に事件の知らせが届いた。高村さんは「腕が鳴るな、銭形くん」と気合いが入っていたが、
泪ちゃんはその間に助手席に乗り込んでいて、ポテチを食べながら「高村さん、早く早く」と急かし、ご機嫌で「出発進行!!ゴーゴー!!イェイ!!」と乗っていた。で、高村さんは車を走らせて現場に向かった。
事件の捜査を始めるが、実は高村さんのこの車が事件に大きく関係してくることになる。というのは、地下駐車場で容疑者の車の隣に高村さんのこの車が入ってくる所が監視カメラの映像に映っていたのだった。容疑者は「鉄壁のアリバイ」と主張するが、泪ちゃんはこの監視カメラの映像の中に、巧みに利用したトリックがあることに気づき、事件を解決した。(最新式の地下駐車場は、二酸化炭素で火事を消すという最新式の消火装置が設置されていた。被害者を駐車場に呼び出しておき、タバコに火を点けるふりをして火災報知器にライターの火を近づけ、火事と偽装死、消火装置が作動した。取り残された被害者は窒息死、容疑者は車の中で酸素マスクを使って時を待ち、死亡した被害者を運んだのだった。)
事件解決後、高村さんがBMW Z3の手入れをしていると、
泪ちゃんがやってきて、「返しに行かなくていいんですか?」と笑顔を浮かべて尋ねた。そしてポケットから折り畳んだ紙を取り出し、広げて高村さんに見せた。「じゃ〜ん。レンタカーでしょ、これ」と言って、その車がレンタカーであることを指摘した。(紙は「レンタカーご利用明細書」であった。)高村さんは「えっ、いつの間に?」と驚いていたが、
泪ちゃんは「男のロマンも借り物じゃあねぇ〜」と言って去っていった。渋い表情の高村さんは「銭形、知ってたの〜?」と大声で尋ねると「知ってたよ〜」と
泪ちゃんは返した。→最初にやってきた時に観察力の高い
泪ちゃんは「品川500 わ 56-61」というナンバープレートから、直ぐにレンタカーと気づいていて、助手席に座った時にダッシュボードから明細書を拝借したようでした。高村さんは一度もレンタカーとは言わず、自分の車のように言っていただけに、レンタカーをそうでない車として偽っていました。→と言っても、高村さんは何も罪になる行為をしている訳ではありませんが...
「
007」:「
トゥモロー・ネバー・ダイ」。1997年のシリーズ第18作で、5代目ボンドの第2作である。この作品では、(メインの)ボンドガールが「007は二度死ぬ」以来となる東洋人になったということで、シリーズの中ではやや異色扱いされている作品でもある。(やはり、欧米ではボンドガールというと「金髪」の方が人気があるようで...)
調査のため、銀行員に扮したボンドはハンブルクに到着した。空港でボンドはレンタカーの窓口に立ち寄り、店員に扮したQから、レンタカーを借りる素振りをして、Qによって秘密兵器を装備した車(BMW 750IL)を渡された。(表向きには誰が診てもレンタカーを借りるための手続きをしたようにしか見えなかった。)この車には様々な秘密装備が搭載されていて、携帯電話をリモコン・パッドとして遠隔運転ができること、武器としては12基のミサイルを装備し、メタル・スパイクや催涙ガス、煙幕を発生出来、メタル・ワイヤー・カッターを備えている。また、タイヤは自動エア補完タイヤであって、パンクをしても自動的に修復して空気を詰めることが出来た。また、当然のことながら防弾ガラスであり、ダッシュボードは指紋照合装置があって、ボンド以外には開けられないようになっている。更に、ドアレバーに電流を流すことで盗難防止をするという盗難防止機能も装備されている。→正に動く要塞といった感じのボンドカーである。
この車でボンドはカーヴァーの身辺を洗うことを始め、GPS装置を奪ってダッシュボードに隠したことから、カーヴァーの手下たちがボンドを襲う。ハンマーでガラスを割ろうとするが、ビクともせず、車が囲まれているのを目にしたボンドは携帯電話のリモコン操縦で車を動かし、飛び乗った。で、後部シートから携帯電話で運転しながら逃げるボンドト追ってくるカーヴァーの手下たち。駐車場での追いかけっことなり、装備されている武器を使いながらボンドは敵を倒していく。(しっかりと、パンクしたタイヤの自動修復も行われている。)そして、ボンドは脱出路を立体駐車場の上の階として、逃げて行く。そして、GPS装置を持ったボンドは車を捨てて飛び降り、敵の目を誤魔化して逃げていった。尚、車の方は、立体駐車場の屋上の壁を突き破って外に飛び出し、立体駐車場ビルの向かいにあったレンタカー会社の店に突っ込んだ。
共通点は、車種は異なるが、どちらも
車のメーカーはBMWであるということ、
ビルの駐車場(「ケータイ刑事」は地下駐車場、「007」は立体駐車場)
で派手な活躍をしたこと、共に
任務に役に立ったこと(「ケータイ刑事」では移動手段として役に立ったぐらいでしたが...)がある。また、物語の
主役(=銭形/ボンド)
はこの車で移動する際、劇中では運転席には座っていないという所も共通している。(「ケータイ刑事」では助手席に、「007」ではリモコン操縦で運転しているものの、後部シートに身を隠すように乗っていた。(尚、Qから受け取ってカーヴァーの元に移動する際は運転席に座っているが、特にじっくりと描かれていないので、忘れてしまっても良いような扱いが出来る。))
尚、「007」を「ゴールデンアイ」とすると、車種は同じものになるのだが、「ゴールデンアイ」ではレンタカーを装うようなことはしていないので、今回のテーマには該当しなくなる。(ただ、1995年のイギリス映画と2004年の日本のTVドラマとで同じ車種が登場しているということは、これはこれで「驚くべき類似点」と言ってもいいことですが...)
一方、相違点は「ケータイ刑事」では実際はレンタカーであったことを隠そうとしたが、「007」では実際はQが改造した秘密兵器(装備品)であったこと(=レンタカーではない)を隠すためにレンタカーを装ったという所である。(「レンタカー」をレンタカーではないとする偽装と、レンタカーではない車をレンタカーのように偽装した。)と、「ケータイ刑事」では無傷であったが、「007」ではボロボロになって最後はレンタカー会社に突っ込んしまって、スクラップになったという所である。
次回は「シチュエーション」ということで記す予定です。何が登場するのかはお楽しみに。