作品データを記しておくと、時間は124分、原作はバリー・ギフォード、製作総指揮はマイケル・クーン、監督と脚本はデヴィッド・リンチ、撮影はフレデリック・エルムズ、音楽はアンジェロ・バダラメンティである。そして出演は、ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーン、ウィレム・デフォー、イザベラ・ロッセリーニ、ダイアン・ラッド、シェリリン・フェン、シェリル・リー、ハリー・ディーン・スタントン、たちである。また、本作はカンヌ映画祭でグランプリ(パルム・ドール)を受賞している。
アメリカ南部。恋人のルーラとの間を邪魔する者には殺人さえも厭わないというワイルドな若者セイラー。彼はルーラに因縁をつけてきた黒人の男を殺してしまうが、それは娘に対して偏執狂的な愛情を持ったルーラの母・マリエッタが2人を分かれさせようとして手を回したものだった。それから2年、保釈されたセイラーはルーラと共にカリフォルニアに旅立った。2人の破天荒な旅は、マリエッタが雇った探偵をもまいて続く。苛立ったマリエッタは暗黒街の殺し屋にセイラー殺しを依頼して、自分も娘を捜す旅に出る。そんな中、ルーラは妊娠していることに気づく。また、セイラーはある町で知り合った男・ペルーから強盗の仲間に誘われる。しかし、強盗は失敗に終わり、ペルーは射殺、セイラーは逮捕されることになった...
セイラーとルーラの個性も強いが、脇役もまた一癖も二癖もある強烈な個性を持った人物が出てくるというように、D.リンチ・ワールド全開であり、そこに暴力、死、セックスというテーマを映像の中に散りばめられている。理解に苦しむ所も多少あるが、鬼才・D.リンチ監督作らしい作品である。
音楽の方は、知るリンチ作品では欠かすことの出来ないA.バダラメンティであり、D.リンチ・ワールドを知り尽くしているだけに、正に絶妙の音楽を聴かせてくれる。ということで、サントラ盤の方も映画と共に聴いてもらいたいアルバムである。
そのサントラ盤の収録曲は以下の全15曲である。『Im Abendrot』『Slaughterhouse』『Cool Cat Walk』『Love Me』『Baby Please Don't Go』『Up in Flames』『Wicked Game』『Be-Bop-A-Lula』『Smoke Rings』『Perdita』『Blue Spanish Sky』『Dark Spanish Symphony [String Version]』『Dark Spanish Symphony ['50s Version]』『Dark Lolita』『Love Me Tender』。
注目は、やはりプレスリーのカヴァー曲でしょう。特に、アルバムのラストを飾る『Love Me Tender』はプレスリーが歌っているのではないか?と錯覚するほど、オリジナルのプレスリーに近いボーカルを聴くことが出来る。これだけでも十分に価値のあるサントラ盤である。映画と共にセットにして堪能しましょう!

Wild At Heart: Original Motion Picture Soundtrack
- アーティスト: Original Soundtrack
- 出版社/メーカー: Spectrum
- 発売日: 1990/08/07
- メディア: CD