物語は、女性が社会的にはまだ認められていない19世紀末(1880年代)のパリを舞台にした物語であり、自由な人生を求めて生きていこうとする一人の女性の物語であり、また悲劇でもある。彫刻家ロダンの弟子となったカミーユ・クローデルは、やがてロダンを愛するようになる。が、周囲は彼女のことをロダンの愛人としか受け取らなかった。そんな彼女は妊娠したことによってロダンに結婚を迫るが、妻のいるロダンはそれを受け入れなかった。失意のカミーユはロダンの元を去るが、そこからのカミーユは大きく変わった。流産して更に失意のどん底にたたき落とされるが、そこから創作活動に没頭し、次第に評価を得るようになるが、生活は苦しい状況が続き、やがてはロダンに対しては憎しみの気持ちだけになり、精神の方も次第におかしくなっていく...
とにかく、原作に惚れ込んだというだけに、アジャーニの演技はまさに神かがり的で、迫真の演技を見せてくれる。(この辺りは、やはりフランスが誇る名女優さんです。)この作品を見たら、悲劇でもあり、時間も2時間半を越える長尺であり、気分的にはズドーンと暗くなってしまうが、そんなものはアジャーニが吹き飛ばしてくれる。アジャーニの魅力をたっぷりと楽しみたいと言うのにはピッタリの作品である。早い話、これぞ「アジャーニのアジャーニによるアジャーニ(とアジャーニ・ファン)のための作品」である。それにしても、こういう狂気の悲劇のヒロインというのはアジャーニに演じさせたら本当に凄いですね。